初期歌謡論 (ちくま学芸文庫)
吉本 隆明筑摩書房
筑摩書房
アフリカ的段階にせよ、言語論にせよ、この歌の発生と枕詞論、中世の諸家の歌体論の現在からみた注釈、和歌の成立まであつかったこの書が必読であることに気付いた。三木成夫を例に引く、「初期論的方法」はこの書の折口理解が参考になる。特に「現代日本の詩歌」での美空ひばりや宇多田ヒカルの歌詞についての考察もこれ抜きには語れないという。
「すべての編集され記録された神話は、白けはてた行為と、堕落した荘厳化の作業におおわれている。物語が荒唐無稽だから虚偽なのではない。露骨につじつまがあっているために虚偽なのだ。神話的行為に、夢の時間と空間の展開様式をみたいのに、しばしばあさはかな作為に、夢は中断させられてしまう。言葉もまた作為を負わされていて、文字の形象でさえ意味有り気にとりかえられている。ほんとうの〈神話〉は『神話』の記述を削り落として組みかえなければ、ほりおこせない。おなじように〈歌謡〉の原型も『歌謡』を削り落とさなければ、ほんとうの姿をあらわさない。」こうした視点から中世から近世の諸家の歌論を検討する。
「すべての編集され記録された神話は、白けはてた行為と、堕落した荘厳化の作業におおわれている。物語が荒唐無稽だから虚偽なのではない。露骨につじつまがあっているために虚偽なのだ。神話的行為に、夢の時間と空間の展開様式をみたいのに、しばしばあさはかな作為に、夢は中断させられてしまう。言葉もまた作為を負わされていて、文字の形象でさえ意味有り気にとりかえられている。ほんとうの〈神話〉は『神話』の記述を削り落として組みかえなければ、ほりおこせない。おなじように〈歌謡〉の原型も『歌謡』を削り落とさなければ、ほんとうの姿をあらわさない。」こうした視点から中世から近世の諸家の歌論を検討する。